2025年夏、米国の国際観光は国際旅行者数の減少が続き、大きく揺れました。例年であれば最も混み合う季節に、多くの都市が、米国の外国人旅行者からの人気低下という新たな現実に直面しました。
年初には、Tourism Economicsが年間の国際到着者数について8.2%の減少を予測し、これから迎えるハイシーズンへの懸念が早くから高まっていました。こうした変化がどの都市で最も強く表れたのかを把握するため、Altezza Travelのチームは、米国で訪問者数の多い都市を支える空港の国際線旅客データを分析しました。
分析の結果、全国的な観光不振のなかで訪問者数が大きく落ち込む都市がある一方、堅調に伸びる都市もあることが分かりました。
2025年6月 国際線旅客数の減少が大きかった米国15都市
2025年に国際線旅客数の減少が大きかった米国上位5都市
#1 ラスベガス(6月の減少率:−9.8%)
ラスベガスは、国際旅行者の減少を象徴する都市となりました。9.8%という大幅な減少は、全米で最も広く議論された落ち込みを裏付けています。ハリー・リード国際空港 (LAS) が公表したデータは、ラスベガスが6月に受け入れた訪問者数は310万人で、前年より11%少なかったとするラスベガス観光局(LVCVA)の報告とも一致しています。
この落ち込みにより、ラスベガスは初夏の国際線旅客数減少で最も大きな影響を受けた米国都市の一つとなりました。ラスベガス観光は、とくにカナダからの訪問者減少の影響を強く受けました。カナダ人旅行者は、カジノ、ホテル、レストランにとって最大の顧客層です。昨年は約150万人のカナダ人が同市を訪れ、州経済に36億ドルをもたらしました。ラスベガス当局は、人気低下の背景としてエンターテインメント費用の上昇を挙げています。ラスベガス市長のシェリー・バークリー氏は、「ゲーミング業界全体が、細かな追加料金で利用者から少しずつ徴収しているのではないかという懸念があります。利用者はそれを好んでいません」と述べています。
#2 マイアミ(6月の減少率:−4.5%)
マイアミは、気候、文化、自然への近さから、長く幅広い旅行者を惹きつけてきました。しかし、米国で2番目に訪問者数の多いこの都市は、2025年の観光不振で2番目に大きな影響を受けています。マイアミでは5月が底となり、国際線到着者数は10.5%減少しました。このマイナス傾向は夏に入っても続き、6月には4.5%減を記録しています。
この減少には複数の要因が関係しています。マイアミはカナダおよびラテンアメリカからの旅行者への依存度が高く、世界的に米国訪問をためらう動きが広がるなかで影響を受けやすい状況にありました。さらに、マイアミ国際空港は供給座席数を減らし、同市の玄関口でもあるフォートローダーデール・ハリウッド国際空港も路線網を縮小しました。
#3 ホノルル(6月の減少率:−3.8%)
ハワイの中心地であるホノルルは、常に多くの旅行者を集めてきました。観光への依存度が高い都市であるため、6月に前年同月比3.8%の減少が生じたことは、地域の事業者に大きな影響を与えました。ホノルルがあるオアフ島は、2025年に訪問者数が3%増えると見込まれていただけに、国際旅行者の減少はとくに重く受け止められています。
#4 ニューヨーク(6月の減少率:−3.8%)
ニューヨークは米国を代表する目的地であり、ビジネス旅行者にもレジャー旅行者にも長く支持されてきました。しかし2025年には、国際旅行者数の前年比減少が継続しました。2025年6月、ニューヨークの国際線旅客数は3.8%減を記録しています。市の観光ブランドを推進するNew York City Tourism + Conventionsの会長、ジュリー・コーカー氏は、2025年のニューヨークの観光客数が200万人減少すると予測しています。
この落ち込みは複数の課題が重なった結果であり、なかでも政治的な不透明感が最も大きな影響を及ぼしました。国際訪問者数の減少は、同市がパンデミック前の水準に戻ると見込まれていた時期に起きました。ニューヨークでは地域消費に占める国際旅行者の役割が大きいため、影響は一段と深刻です。「ビッグアップル」を訪れる旅行者全体に占める外国人の割合は20%にすぎませんが、観光収入では全体の半分を占めています。
#5 オーランド(6月の減少率:−3.8%)
オーランドは、ディズニーワールドをはじめ世界有数の来園者数を誇るテーマパークを擁し、国際的な家族旅行の主要拠点でもあります。2025年6月、同市の国際線旅客数は前年同月比3.8%減となりました。国際的な家族旅行のピークシーズンを迎えたタイミングで、2025年前半に続いていた前年比の安定成長はマイナス基調へ転じました。
6月の減少は、経済的な圧力、航空会社の供給座席数の変化、外国通貨の下落が重なり、家族旅行需要にも影響し始めた可能性を示しています。安定した回復軌道に見えていた流れが、ここで途切れた形です。
2025年に国際線旅客数が増加した米国上位3都市
#1 サンディエゴ(6月の増加率:+14.1%)
サンディエゴでは、2025年第1四半期に国際到着者数が減少していましたが、第2四半期には大きく回復しました。2025年6月の国際線旅客数は前年同月比14.1%増となり、米国の主要目的地のなかでも特に高い伸びを示しました。
この回復の主な要因は、東京、パナマシティ、アムステルダム、ロンドンなどへの直行便を含む新たな国際線接続による空港機能の拡大です。こうした動きに夏の需要回復が重なり、運航面の拡充と季節要因がそろえば、国際到着者数は短期間で回復し得ることを示しています。
#2 シアトル(6月の増加率:+9.7%)
シアトルはボストンと並び、2025年に国際線旅客数の前年比減少を免れた数少ない米国主要都市の一つです。6月の国際到着者数は前年同月比9.7%増となりました。世界的に米国訪問をためらう動きがあるなかで、予想外の伸びです。
この成長には複数の要因が寄与しました。シアトル・タコマ国際空港は欧州およびアジアへの新たな直行便を追加し、国際線到着施設も改修しました。これによりゲート容量はほぼ倍増しています。さらに、レジャーとビジネスの双方の目的地としてのシアトルの位置づけに加え、2026年FIFAワールドカップなどの大型イベントも同市の魅力を高めています。これらの要素により、他の米国都市が苦戦するなかでも、シアトルは全国的なマイナス傾向を避けることができました。
#3 ボストン(6月の増加率:+1.5%)
ボストンは、全米の国際観光が9.4%減少すると予測されるなかで、国際線旅客数の前年比減少を免れた数少ない米国主要都市の一つです。同市は6月に前年同月比1.5%増を記録し、第1四半期からすでに見られていた国際線旅客数の安定した増加傾向を維持しました。
ボストンが成長を維持できた背景の一部には、ボストン・ローガン国際空港の強い大西洋横断ネットワークがあります。ロンドン、パリ、ダブリン、その他の欧州主要ハブへの直行便が整っています。欧州はボストンの国際線旅客数の最大シェアを占めており、6月に欧州からの到着者数が前年同月比5.6%増となったことが、全体のプラス傾向を支える重要な役割を果たしました。
調査方法
2025年6月に国際線旅客数の減少が最も大きかった米国都市を特定するため、訪問者数の多い米国15都市を対象に、それぞれの都市圏で商業国際線を運航する空港の国際線旅客データを収集・分析しました。データの対象期間は2025年1月から6月までで、前年同期間との比較により前年比の変化を把握しています。
マイアミとフォートローダーデール(米国で訪問者数の多い都市ランキングでそれぞれ1位と13位)は、主要空港同士が近接しているため、空港データを統合しました。そのため、マイアミとして示した国際線旅客データには、マイアミおよびフォートローダーデールの空港データが含まれ、より広い南フロリダの旅行市場を反映しています。
国際線旅客数の減少が最も大きかった米国都市の順位を決定するにあたり、国際旅行の直近の動向を反映する指標として、6月の前年比変化を使用しました。
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