この記事では、タンザニアの国立公園や保護区で楽しめる、ひと味違うサファリをご紹介します。草を食むアンテロープの群れ、その動きを追う捕食動物、単独で歩くキリン、アフリカゾウの群れを、熱気球から見下ろすサファリです。どこで飛べるのか、何が見られるのか、どのように手配するのかを詳しく見ていきます。
サバンナ上空を飛ぶ
シマウマやアンテロープの群れが行き交うサバンナを熱気球で飛ぶフライトは、タンザニアを旅する方にとって印象深いサファリのひとつです。定番の サファリ車両でのオフロードサファリは、同じ公園を何度訪れても飽きることがありません。当社でも長年にわたり、その魅力を実感してきました。一方で、野生動物、アカシア、バオバブ、川や丘陵を、鳥の目線に近い高さから静かに見渡す時間は、地上のサファリとはまったく異なるものです。
かつて冒険小説家ジュール・ヴェルヌは、気球を題材にした物語で作家としての歩みを始めました。最初の長編小説は『気球に乗って五週間』です。物語では、現在のタンザニアにあたるザンジバル沿岸から旅が始まり、雲の上にそびえるキリマンジャロを過ぎ、国の北部を通ってタンガニーカ湖とビクトリア湖へ向かいます。まさにキリマンジャロ山とビクトリア湖の間では、アフリカの7つの自然の驚異のひとつに数えられる、ヌーの大移動を観察できます。
現在、旅行者は観察に適したエリアの上空を熱気球で飛ぶことができます。地上約100m、場合によっては約490mの高さから、何が見えるのでしょうか。籐のバスケットに乗ってタンザニアの上空を飛ぶとは、どのような感覚なのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。
空からのサファリの魅力
自然の中に身を置く時間には、いつでも価値があります。野生動物に気づかれにくい距離から近づき、日々の動きを細部まで観察できるなら、その楽しさはさらに深まります。タンザニアの国立公園を熱気球で飛ぶフライトでは、まさにそのような視点が得られます。
たとえばセレンゲティのような名高い地域を、地上とは異なる方法で訪れる熱気球サファリには、サファリ車両とは違う次のような特長があります。
- 通常とは異なる角度から観察でき、写真撮影にも適しています。
- 鳥の目線に近い高さから、果てしなく続く平原を広く見渡せます。
- バーナーの音が出る前は、動物に気づかれにくい状態で近づけることがあります。
- 地上からは見逃してしまう場面に出会える可能性があります。
- サファリ車両の走行ルートに縛られず、風に乗って移動します。
- 上空に静かに浮かぶ、熱気球ならではの感覚を味わえます。
空からのサファリは、決められたルートを車で進むサファリとは当然異なります。動物に出会える可能性の高さや、公園内で過ごす時間の長さという点では、従来の車両サファリにも確かな利点があります。日程に余裕があれば、地上のサファリに熱気球サファリを組み合わせることで、タンザニアの野生動物と景観をより多面的に楽しめます。
これまで国立公園を訪れたことがある方、セレンゲティに何度も足を運んでいる方にとっても、熱気球サファリはタンザニアの旅に新しい視点を加えてくれます。
熱気球フライトの流れ
サバンナ上空へ上がるのに適した時間帯は、早朝と日没前の夕方です。この時間帯は風が比較的穏やかで、動物たちも活発に動きます。日中は強い日差しを避けて木陰に入り、夜は休んでいることが多いためです。特に理想的とされるのは朝です。夜明けには草食動物の群れが動き出し、捕食動物も狩りに向かうため、興味深い場面を観察できる可能性があります。サバンナの地平線から朝日が昇る様子も、この時間帯ならではの見どころです。
出発は早朝で、午前4時ごろになることがあります。フライトは午前6時ごろに始まります。出発前の1時間から1時間半は準備の時間です。参加者はホテルから送迎されて発着地点へ向かい、その間にクルーが熱気球を準備します。
熱気球のバスケットは偶数人数向けに設計されており、通常は最大16名まで乗ることができます。操縦士のスペースもあります。バスケット内はすべて立ち乗りです。全員が乗り込むと、気球の内部に空気を送り込みます。構造部に取り付けられたバーナーで空気を温めると、気球はゆっくりと上昇します。操縦士は空気の温度を調整しながら高度を管理します。
多くのフライトは、地上約200mまでの高度で行われます。許可される最高高度はその約9倍、約1,800mですが、動物を観察することが目的であり、雲を見るためではないため、高く上がりすぎる必要はありません。操縦士は梢に近づいたり、そこから離れて高度を上げたりします。高度の選択には風も大きく関わり、風の強さと向きがフライトの条件を左右します。
一般に、熱気球のフライトは天候、とりわけ風に大きく左右されます。日程を組む際には天気予報が重要になりますので、予約時にも考慮しておくと安心です。熱気球サファリの予定日の後に、数日程度の余裕を持たせてタンザニア旅行を計画することをおすすめします。天候が適さない場合、フライトが延期されることがあるためです。多くの場合、翌朝に振り替えられます。
熱気球サファリの飛行時間は約1時間です。その間にさまざまな景色を眺め、少なくとも約10km、風の条件によっては約29km移動することもあります。移動距離は風の速さと向きによって決まります。そのため、ひとつとして同じフライトはありません。ルートを正確に予測することも、同じように再現することもできません。
フライト中は、地上のサポートチームが一定の距離を保ちながら気球を追い、着陸時に回収と下船を補助します。サバンナ上空へ飛び立つ準備について、次に見ていきます。
フライト前の準備
実際のところ、熱気球のバスケットに特別な持ち物を持ち込む必要はほとんどありません。適した服装を選び、細部まで観察しやすいよう双眼鏡を持参すると十分です。鳥に近い高さを飛ぶと、空を舞う鳥、木の枝で休むライオンの雌、水辺へ向かうアフリカゾウの家族、川岸に出ているワニ、そして滑らかな岩のように背中や頭を水面に出す大きなカバを見られることがあります。
服装は通常より少し暖かめを選ぶとよいでしょう。フライト準備は午前5時ごろの早い時間に始まり、サバンナはまだ涼しいためです。気球の上では、空気を温めるバーナーが近くにあるため、強い寒さを感じることは多くありません。また、バスケットは気流と同じ速度で移動するため、高度が上がっても風を強く感じにくいのが特徴です。
熱気球フライトの安全性
かつてタンザニアのサバンナ上空を飛ぶ試みが始まった時代には、予期せぬ事態も起きていました。冒頭で触れたジュール・ヴェルヌの小説は1862年を舞台にしており、物語は墜落で終わります。それから100年以上後の1975年、アラン・ルートは熱気球でキリマンジャロ上空を飛び、その記録をBBCの映画『Safari by Balloon』として編集しました。
この映画は、機会があれば最初から最後までご覧になることをおすすめします。監督のカメラには、東アフリカの気球飛行の開拓期ならではの興味深い場面が数多く収められています。ライオンの雌が気球から垂れたロープの端をくわえる場面、着陸するバスケットがボート上のクルーをはね飛ばし、川に落ちたうえにボートが沈み始める場面、バスケットが木々の上へゆっくり沈み込み、枝にロープが絡まる場面などです。当時の空気を知ることができる、貴重なドキュメンタリーです。
その後、状況は大きく変わりました。現在は、認定を受けたプロの操縦士が機体を運航し、熱気球の運用方法は細かく整備されています。気球そのものも近代化され、観光フライトには確かな安全管理基準が求められます。
すべてのフライトは民間航空局の規制を受けています。気球と関連機材は継続的に点検され、運航会社にはライセンスが必要です。操縦士についても、飛行に必要な資格と適性が確認されます。
観光フライトは1980年代後半から行われており、30年以上にわたり運航プロトコルが整えられてきました。タンザニアの国立公園を訪れるこの方法は、世界的に知られるハリウッド俳優やヨーロッパ王室の方々にも選ばれています。フライトの安全性について詳しく知りたい場合や、体重・年齢などの制限に関するご質問がある場合は、当社の専門スタッフまでお問い合わせください。必要な情報をご案内します。
フライト実施エリア
セレンゲティ国立公園は、熱気球サファリに特に適した場所とされています。ここでは、ほぼ一年を通してヌーの大移動が見られます。ヌーとシマウマの大群に加え、トムソンガゼル、グラントガゼル、その他のアンテロープが、食物と水を求めて長い距離を移動します。月ごとの移動パターンについては、移動スケジュールの記事で詳しく紹介しています。
ライオン、ヒョウ、チーターは、群れから離れたアンテロープやシマウマを狙います。ときには、ネコ科の捕食動物同士が縄張りをめぐって争うこともあります。セレンゲティは、捕食動物が多く生息する地域として知られています。サファリ車両では入れない場所を上空から移動できるため、地上とは異なる野生動物観察の可能性が広がります。
広大なセレンゲティ平原の各エリアをカバーするため、複数の発着地点が運用されています。常設の地点もあれば、動物が多く集まる時期に合わせて運用される季節限定の地点もあります。
タンザニアでは、タランギーレ国立公園、グルメティ保護区、ンゴロンゴロ自然保護区など、ほかの公園や保護区でも熱気球フライトの機会があります。タンザニア旅行を計画する際は、Altezza Travelの専門スタッフにご希望やご質問をお知らせください。内容を丁寧に確認し、旅程に合ったプログラムをご提案いたします。
充実したフライトをお楽しみください。
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